ここでいう、移植とはマニュアル車のシフトでセカンドのようなもので、
要するに定植(トップ)に持っていくための中継ぎの役割である。
うまく発芽できたものを、蒔床の集団からどの様にして個体として独立させるかということである。
また、移植後にばらつきなく成長させることも重要な要素である。
ただし、播種を密にした場合。1本立ちがやり難いことがある。仕方なく、意識的に2.3本立ちにする。その場合、成長を待って分割する。
直根種の場合、移植が難しいので直播が良いと言われているが、それをあまり意識したことはない。
種まき用の箱であるが、当初A4サイズのものを使っていたが、、
倍のA3サイズのものも購入した。効率的に播種できると思ったからだった。
ところが、移植の段階になって、はじめて失敗だと分かった。移植ごてで無秩序に育っている苗を切り分けるときに、播種容器を頻繁に方角を変えて苗を取り出す。そのためには小さい目ではあるが、A4サイズ蒔き箱が動かしやすく、便利であることが分かった。
育苗箱で育つ幼苗の位置はランダムである。隣との距離は様々である。1本づつすくってポットに植えるのは難しい。移植ゴテは2、3種類必要で、苗間隔に応じて使用する。やむを得ず2本になったり時には3本同時に移植することがある。複数育ちのポットは、根が育った頃に2つにちぎって分割する。 なお、播種容器=育苗器です。
発芽してある程度経過すると独り立ちであるが、定植にはまだ早い。定植までには幾多の試練がある。ポット生活が待っている。
播種した苗床から苗をポットにうまく移植するには苗の生育度合い(移植時期)と移植用具と移植のやり方がかなり影響する。
蒔床から一塊の土と共に、小さな苗をポットに移しても、根の損傷が少なく、根の周りの土との密着が維持できていれば移植の成功だといえる。
ポットに半分の土の上に置いても崩れにくいためには、毛細根が分枝出来ていると、苗の周りの土が崩れないから都合が良い。
そのような好適期は、われわれが見える上半分の地上の姿で判断するなら、どんな姿の時季かということになる。
植物それぞれには性質も姿形も違うものであるが、概していうと、
種から発根と発芽をほぼ同時にさせるが、双葉が出た頃は幹根だけで、
移植するには危険であると見てよい。
本葉が出かけた頃は、それに対応して、根の方も細い根が幹根から分枝し始めていると見て良い。
即ち、地上の姿は地下に協調・連動しているとみなしている。(豆の様な直根型の場合少し異なるが)
即ち、”双葉が出た後、本葉の芽の先端が覗いた頃”が移植時季だとしている。ただし、個体差があるため、経験によって決めていく方がよいかもしれない。
播種からの影響であるが、密に播種していれば、他の苗の根が絡まないように少し早い目の移植が必要になる。発芽率の読みにもよるが。
草花にも野菜の大根と同様、直根性のものがある。ジニア、クレマチス、朝顔等々である。それらは移植すると直根損傷のリスクがあるので直播が良いとされている。しかし、私は細根性、直根性を意識せずにいる。但し、2本植えのジニアが開花し色違いだったので移植して揃えたが、その際には深く掘りました。
事情があって移植に遅れたことがある。どの苗も根が縦横に張っているようで、育苗箱の底から根がはみ出していた。。 したがって、移植ゴテでどれかの苗を引っ張ると周りの苗がついてくる。
しかたなくその苗と、周囲の苗の根を切断して移植することになる。ひきちぎる。 したがって毛細根に密着していた土まで外れる。ポットに植えて速やかに水を掛ければ、最初はしおれてしまっても、やがては元気が出てくる。ポットの土は蒔床の土とほぼ同一にするが、 とにかく根を張りやすい柔らかい土を用意する。 市販の花の土を使っても良いが、 私はコストも考えて、自宅の花壇の土にバークを加えている。
次の配合にすることが多い。
花壇の土3/4.バーク堆肥1/4
バークを混ぜるのは、 ポット土の水分が、移植後適切に保持される。 通気性があり、軽くて柔らかい土のため根が四方に張りやすい。 肥料としては古土の残留成分に期待している。その苗が持つ本来の成長力に依存している。
バーミキュライトを少量混ぜることがある。土の流動性を高めて作業がしやすくなるのと、 苗にとって、毛細根が張り易く、しかも湿気を制御するところからである。
苗の生育を助長するために若干の化成肥料を施すことがある。
ポット苗用の土を作る際に、いや地予防上配慮しているのが、花壇のその土は、苗と同一の植物が花期を終えたものではないということの確認だけである。いわゆる、連作のいや地を避ける。もっと突き詰めれば、同一科の植物とのいや地ということになるかも知らないが、そこまではしていない。
先日、ほぼ完ぺきな「花の土」を見かけた。堆肥+腐葉土+化学肥料入りというものだった。私は移植には化学肥料までは入れていない。それは定植時に使用すれば良いと思う。発芽から幼苗までは自然のエネルギーがタネに備わっているような気がする。
苗床の苗を切り分ける際に土が崩れるのを避けるため、準備として蒔床に湿り気を与える。金盥の水の中に苗床をしばらく浸けて置く方法が良い。
根の長さや広がりをイメージしておく。
およそ次の様にしている。
①ポットに土を半分程入れる。(切り分ける苗土の深さを勘案する)
②多くの苗の境目を切り分けるようにして、移植ゴテで苗をすくい、ポットに移す。
(根の周りの土を極力密着させたままで=急所)
③苗の周りに用土を埋める。
上から水をかけても良い。ただし、山盛りに土を盛るとその後水をかけても流れてしまい、浸透しないことがある。移植後のポットには上からの散水と腰水の併用がよい。
ポット苗として移植が成功する可否を握るのは、前段階の播種の仕方に負うことが多い。
播種の際に、面積当たりの蒔き方が多すぎると、密度濃くびっしりと発芽してしまい、根が絡んで移植が困難となるケースがある。発芽率をどう計算し、苗の大きさをどう見込むか、どのような方法で移植するかを考えて播種をすることである。多くの経験を積んでうまくなると思う。
育苗箱で移植を待つ苗は様々で朝顔のように大きめの苗、ペチュニアの様に小さな苗、苗株の間が密なケース、疎な場合と。苗の周りに空間があればなるべく大きく移植ゴテですくい安全を期す。苗の周りに空間が少ない場合は小さな移植ゴテで三角柱に切り分けて移植ポットに運ぶ。小さな苗で密集している場合は。階段状に数本づつかすり取る。
昨今、移植後定植時季まで、はかなりスパンが長くなってきた。「定植」は”本葉が数枚出た頃”から”花姿が見える頃”までに移行してきた。
昔の定植時季に定植するのであれば小ポットでも良いが、一番花が咲く頃まで持っていくためには再移植が必要になってくる。
DIYショップで売り出す苗は殆どが花姿が見えてからである。一般的に定植時期が遅くなってきている。花姿の写真を張り付けた幼苗の小ポット販売も減ってきた。ユーザーは即戦力を購入して真剣にデザインしている。
早期に定植するには小ポットで良いが苗姿が大きくなると根の発達も進む。根が張ってストレスになり成長が阻害される、大きめのポットに入れ替えて根詰まりを予防する。
小とは言えかなり大きく育ってきて、水分補給もそれにつれて回数が増えてきていたが、ポットが大きくなると、水やりの絶対量は多くなるが、回数は少なくなり、作業は軽くなる。
ガレージ前で花苗を提供しているが、その例にもれず、数人の奥様が”この色が好き”とか、”この大きい花の方がいいわ”とか言い合って、かなり選択しているのが分かる。
早い目にお宅に持って帰っていただいて、定植を済ませ、花が咲いてから移植する方法もあるのでは、と思うのである、が。
あるとき、庭の一か所にビオラ4,5個のポットが固められてあったので尋ねた。家内によると”紫色一色のものを探しているの”である。
再移植によって、小ポットでのストレスから大きいポットに解放され、成長がぐっと高まるような気がする。初めから大きなポットで育つよりも育成の効果が大きいのではないかと思ったりする。が、ストレスの成長ダウンが計算に入っていないからだと思う。
移植ゴテの種類は5万とある。いわゆる、スコップと言われる標準品から、先のとがったもの、長細いものまで無数にある。
A4サイズの苗床に沢山、小さな新芽が生まれ、移植を待っている。土と共に切り取ってポットに埋める。
苗床にたくさんの新芽が生えそろった。欲張って大目に蒔くためどうしても密に育つ。
それを階段状にえぐりながらポットに植え付ける。
色々な形の市販の移植ごてを使ってみた。どうもしっくりこない。切り取るサイズと移植ゴテの刃の部分の厚みが合わないのである。
最近、手の震えと共に正確に動かなくなり、以前使用の移植ゴテも柄が腐り、最大限の移植数を追えずアバウトになった。百均で購入した大小2本の移植ゴテを使用している。
もう一つは移植専用のスコップで自作したものである。これは10年以上使用している。やはり、柄の部分が疲労してきて柄との取り付け部分で弱ってきている。2代目を作ろうとしてステンの残り板を探しても見当たらない。今となっては昔が懐かしい。
ポットへの移植後数日から1週間は明るい日陰に置き、損傷した根の負担を軽くし、ポット土へ定着しやすくする。ポット苗を動かす場合は振動が伝わらないように配慮する。
その後ポット苗を風当たりの良い日向に置く。表面の土が乾くと、1,2日後に水をやる。上からかけるか、腰水にする。
一度乾燥し切ると、茎は硬くなって、成長はおぼつかない。
成長するときはどんどん水ぶくれさせる。
表面が乾燥しない前に水やりをすると、腐ったり苔が生えたりする。
分離できずに、数本の苗をまとめて移植した場合は、成長してきた段階で残す苗を選んで、残りを間引く。
<分苗>複数本の苗をポットに移植し何れもよく育つことがある。間引くのが惜しいので各苗を生かす方法を取る。両手で握って引き裂いたり、苗の間にプラスチックの板や移植ゴテで強制分離させたりする。二兎を追うもの・・になりやすい。
ポットの底やポットの中の土との境目にナメクジが住んでいることがある。苗を食べてしまうので退治する。夜行性なので、昼間は姿を見つけにくい。退治の薬は百均店で販売している。だめになったポットをそのままにしておいて、退治の薬を5、6粒置いておくと翌日には死骸がある。
2年草のカンパニュラは春に播種し、夏季にはポットに移植して過ごす。秋に定植している。寒冷紗の下に置くが、高温・多湿の状況下で、枯れたり腐ったりさせて、2,3割の損失をしている。9月播種の種類へ切り替えを考えている。